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見た、聴いた、触れたこと。 動かしたもの、書いたもの。 ウェブとリアルの備忘録です。

第87回ニューヨークADC展ゲスト講演会 備忘録

銀座クリエイションギャラリーG8開催、第87回ニューヨークADC展講演会行ってきました。

ゲスト(敬称略):
福田敏也(777interactive)
益田準也(777interactive)
田中良治(SEMITRANSPARENT DESIGN)
菅井俊之(SEMITRANSPARENT DESIGN)



下記テキストデータのみですが、備忘録。
ADCの審査背景などは後学として有用かもです。。


参照リンク:
なお、審査員を務めた福田さんが司会進行というスタイルで、講演内容は以下の順で展開されていました。
  1. ADCと広告周辺
  2. 受賞作品について Bravia-"Color Wall Project"
  3. 各人が取り組んでいる & 今後取り組みたいこと

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冒頭:福田さん解説

The Art Directors Club(in NewYork) 以下N.Y.ADC
年間1万点もの広告作品が応募、うち入賞できるのは70点程度

N.Y.ADCの他にも名誉ある広告賞は存在する、RANNES・ONE Show‥など。
今回受賞したSONY製TV Braviaインタラクティブ部門での受賞だが、インタラクティブ部門がカテゴライズされてなく、その代わりにクリエイティブ部門で受賞するものもある。

初めは自分は、ラジオ部門審査員になった。ただ、音媒体の表現の制約の中、イノベーションが難しい題材と感じた。
言葉の組み合わせは確かにクリエイティブの要素として有効だが、
金賞を与えられる作品にとっては、果してそれが金賞たる特例の所以でありうるか。

ADCは伝統を重んじるとともに、広告としてのクリエイティブさも求める。
GoldCube授与の意味 = 今年を背負うものを選ぶというプライド

印象的な作品の特徴は2点(例にUNIQULOCKを挙げて)
  • イノベーティブであるか?それは何かをインスパイアするであるものか?
  • アート性があるか?アートディレクティブであること。

審査の中には"揺れ"が存在する。
日本には良い作品が多い

UNIQULOCKは2008年カンヌでプラチナ賞受賞、ただしADCのゴールドではないのは?
これはメディアとして新しいもの、オンライン広告としての新しさはあったが‥
ネットワーク使っての技術がポイント

良いメーカーには車広告に多いが、高評価のWebサイトがなかった。
言ってしまうと、良くできた車のカタログ止まりという印象(3年前ならこれだけでもクリエイティブだったかもしれないが‥)


評価軸3つ
  • どう面白い?
  • どう評価されている?
  • どんな軸で作られた?
メディアとしての新しさも評価の一部だが、「人のつなぎ方」「ブランドファンドの作り方」も考慮されるべき

Online AD としてであれば高評価な UNIQULOCK
イノベーションとして評価されたのが SONY Bravia "
Color Wall Project"


他にも、斬新なコンテンツつくりをしてるブランドもある
California Fruits Milk(MicroSoft 制作のストーリーメイキングコンテンツ)
広告名:"Get the GLASS"
キャンペーン用に、オンライン上でユーザ参加型のすごろくゲームを公開
ディティールまで手の込んだFlash、87個の結末、練りこんだデザイン
公開直後から、この広告作品は何かしらの賞を受賞するだろうと予測できた

その他にも、N.Y.ADCの作品アーカイブを見てみると良い。



-- 以下、対話から抽出
-- Color Wall Project

福田さん(以下:F)
楽でなかった点は??企画段階の話も。

益田さん(以下:M)
SONYビルに色をのせる案の前の段階から。
2008年1月からプランスタート、4月に企画立ち上げ
WebでLiveColorを体験させるコンセプト

当初は、Web内だけで済ませるつもりだった。
以前、セミトラとアカリウムのプロジェクトで手を組んでいた時があって、リアルの喜びも試してみたいと考えていた。
SONYビル表面に設置されているLEDは、167万色の表示色を再現可能だった。

最終的には、SONYビル壁面の色をインタラクティブに変化させるというところに落ち着いた。
懸念は、本当にそれで驚かせられるか?

田中さん(以下:T)
抽象的なコンセプトの形化、プログラムで実現できるか?(前例ないので‥)
SONYビルとつなぐ、Braviaは赤をきれいに描写できるTVというコンセプトを活かしたい。
→再現力をそのままでなく、楽しんでもらえることを伝える。

初め、エンターテイメント性が乏しいのではないかという不安。
ビルの色変えるだけ?試してみたら面白かった!

F:
技術的なことはよく知らないのだけど、BraviaのWebサイトの左上枠(※ここにはTV広告が流れています)から広告動画の色をピックアップするのは難しいのでは?
そういった前例ないことへの挑戦なので、リスク管理は大変だった?

M:
何が地雷か見分ける・リスクの共有は大事だった。
クライアントともリスクを共有した上で、新しさを追求したかった。

菅井さん(以下:S)
プロジェクト動き出してからも心配はあった。
うまくいくかはその時点では何とも言えないことがある。
今回の担当範囲では、一人でやれること以上のことにも挑戦したかったので、外部からの協力も仰いだ。

T:
そもそもリアルとバーチャルを同じレベルで扱おうというところが、セミトラの始まり。
2000年頃は、そんなこと言われてもみんなからの反応は???だった。
今ならリアルにWebバーチャルが生活に侵食してきたからOK。

M:
カリウムin表参道、でやったときの感覚。
Webの中で表現する気持ち良さがある。

F:
カリウムでの満足感は、シンプルに「わっ!すげー!」とさせたところから?

S:ケータイでやったのが良かった(※Tel.で操作可能)。
身近なガジェットでできたところがGood
複雑なメカでできてたとしても、できて当然感が生まれてしまう。。

杞憂ではあったが、現場での作業時間が長かったので、仕掛けのネタばれは不安だった。
一番最初に動いたときはとても嬉しかった。

F:
シンプルの良さ、作品のどこがトリガーになるかを考えることは大事



-- 各自の活動について(近況・やりたいことなど)
F:
近作について聴かせて

T:
デザインからグラフィックに興味移る
1秒のシャッター速度でフォントを作成する試み
→フォントに時間軸をもたせる、という概念

Webはまとまったものをポンと出すイメージあり
広告との決別ではないと考えている

Type Designer's Club との関わりから、フォントデザインの発想
空間の曖昧さ、デザインのつながりをしたい

いましている仕事周辺は、あと数年したらやりつくされているという危惧がある。

F:
Webサイト制作では、アート寄り・ビジネス寄りの住み分けは感じたりする?

T:
アートよりもインターネット的な発想ベース
1日16時間はネット漬けで過ごしてきていた、知識過多な状況

子供ができると一気に現実へ
子供との生活情報は予めアタマに詰まっていて知っているようで、知らないことだらけ

S:
ビジュアル的なところ
Social HackingとしてのBravia

M:
ランナーがランニングコースを作る&シェアするWebサービス"Hello Runners Map"を公開
Google Street Viewerでコースの視覚化、Blogパーツで共有
サーバ上でアニメ化してくれるストリートマップ

行ったことない場所でも、自分が走ってみたいコースが作れる
Google APIでの制約は大変だった(データをローカルサーバ上に残せない、API叩きすぎはNGなど)

T:
やりたいことで、
シンプルなものに対してディティールを詰めていくことが好き
MashUp
二次利用の概念はCMをカラーパレットとして使うなどにつながった

CMの素材、色を表現する
何で色を採るか?
きれいな景色の映像から採る案もあったが、SONYのLiveColorのターゲットとしては弱い→CM使おう

M:
リアルな体験をしている人にWebを体験してもらいたい

T:
世界の電波系にアプローチしていく。Twitterニコニコ動画など通じて。


** 以上。

対話の箇所は整合性とれてない部分、漏れ欠けがあるので、イメージだけ読み取ってもらえたらと思います。